人生最後のダイエット

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私は小さな頃からずっと肥満体で、小学校三年生にしてすでに六十キロ近くも体重がありました。当然男子からのあだ名は「デブ」。さいわい性格が明るかったので、女子からのイジメにはあいませんでしたが、それでも私の役目はいつでも三枚目のピエロでした。
中学に入り、周囲にだんだん告る女子が出てくると、私のグループでも恋愛トークに花が咲きました。「ねえ、恵は好きな人いないの?」そう聞かれる度に笑って否定していました。でも本当はいたんです。陸上部の同級生。でも、中学に入り100キロを超えた私には、恐れ多くて告るどころか近寄ることすらできませんでした。
もちろん私もいろいろと自己流のダイエットは試していました。早朝のウォーキング(知り合いと合わないようにするため)、りんごダイエット、ゆで卵ダイエット、リセットダイエット、レコーディングダイエット…どれも効きませんでした。2、3キロは落ちるのですが、すぐもとに戻ってしまうのです。
それと同時に相変わらず食べることは大好きで、高校受験を控えた中学三年生の時にはストレスもあり、早弁は当たり前、昼は購買の総菜パンを5個くらい食べ、家に帰るとスナック菓子を3?4袋とアイスクリームファミリーサイズに夕食、さらに深夜に夜食のラーメン、といった生活になったのでさらに体重は増え、ついに120キロ目前になりました。
しかし、そんなふうに果てしなく太り続ける日々に、ある日突然終止符が打たれました。それは受験も近づいた初秋の放課後のことです。私は補修を終え、薄暗い校舎を後にしました。ふと、校舎の陰から人の笑い合う声、それも聞き覚えのある声が聞こえたのでハッとそちらを見ました。間違いありません。私が片想いしている、陸上部の彼です。彼は下級生らしい女の子の告白を受けているようでした。二人とも嬉しそうです。女の子は色白で髪が長くてツヤツヤで、手足が華奢でした。そう、まるで私とは間逆の…そこへ追い討ちをかけるように彼の声が聞こえてきました。「ほんと、嬉しいよ。君みたいな痩せてる子、好みだからさ」それを聞いた瞬間私はその場からそっと立ち去りました。胸が苦しくてどうにかなりそうでした。どうにかして、なんとかして痩せたい!私の人生変えたい!
私はいろいろ迷った末、仲良しの歳上の従姉妹に相談してみることにしました。従姉妹は短大生で、スタイルがすごく良いのです。同じ家系なのにそのスタイルを保っているのには、何か秘訣があるのではないかと思ったのです。従姉妹は私の話を聞くと大きく頷きました。「そっかー、恵ちゃん大変だったね?。もっと早く薦めてあげれば良かったよ」と言って渡してくれたのがこのダイエット茶です。「これを普通に、お茶として飲むだけだよ。効果は今は言ってもどうせ信じられないだろうけど…まあ試してみなよ」
飲み始めて数日、私はみるみるうちに効き目を実感しました。お通じだけでなく浮腫みも取れ、面白いように体重が落ちていくのです。
二ヶ月後。私は受からないと言われていた志望校に合格していました。体重のほうもその頃には生まれて初めての標準体重になっていました。それだけではなく、脂っぽかった髪はツルツルになり、ニキビだらけだった顔には吹き出物一つなくなりました。
卒業式で、クラスメートは一斉に私の方を見つめました。その中には、あの陸上部の彼もいました。
(このダイエット茶が、人生最後のダイエット。私はデブには戻らない)私は心の中で、そう呟いていました。

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